面接で健康状態は正直に答えよう
履歴書には健康状態を書く欄がありますが、面接で直接聞かれる場合もあります。応募した職種で問題なく働ける状況にあれば、何も悩むことなく「良好です。特に問題ありません。」と答えるだけですむ質問です。
しかしケガや病気があると、答え方に悩む人もいるでしょう。この記事では、面接での健康状態を聞く理由や答え方のポイント、状態別の回答例、答え方の疑問に対する答えを紹介します。
面接で健康状態を聞く理由
面接であなたの健康状態を聞かれるケースがありますが、不採用を決めるためではなく、採用した場合を想定して尋ねます。なぜ健康状態を尋ねるかの4つの理由を知り、面接官の意図に沿った回答をしましょう。
業務に支障はないか?
現在の健康状態が担当する業務に支障をきたさないか、面接官はチェックします。なぜなら入社後、健康状態を理由に欠勤をくり返すと、全体の業務に支障をきたすからです。
運転など危険をともなう業務の場合は、健康状態に不安があったために、周りまで危険な目にあわせる可能性があるからです。しかし、職場により影響があるとみなす健康状態はさまざまなので、同じ健康状態であっても、採用か不採用かは変わります。
自己管理能力はあるか?
生活習慣病など、日頃から健康に気をつけて過ごせば防げる病気・ケガもあります。自己管理能力の弱さが原因でかかった可能性のあるものは、不利になる場合があります。
しかし病気やケガが完治していれば問題はなく、業務上必要な場合を除いて既往歴を全て詳しく伝える必要はありません。
必要な配慮をするため
健康状態を尋ねる目的は、採用後の必要な配慮を見極め、企業側が対応できるかを確認するためです。ぜひ欲しい経験やスキルを持った人材であっても、自社で必要な配慮ができなければ、貴重な人材が働きづらさを感じてしまいます。
入社後気持ちよく働ければ長続きし、次の人材採用にかかる手間を省けるので、企業にとってもメリットです。しかし申し出のないまま何らかの症状が出た場合、必要な対処ができない恐れがあります。
応募職種に必要な配慮があれば、事前に伝えておきましょう。
面接で健康状態を答えるポイント
面接で健康状態を答えるとき、どこまで伝えるべきか悩むかもしれません。答え方のポイントを知って、必要に応じて話すようにしましょう。
正直に話す
病気は人に言いたくないことですが、業務上必要で確認された場合、うそをついたり隠したりせず正直に伝えましょう。重大な病状や病歴が業務上支障をきたした、またはきたす恐れがあったにもかかわらず、面接で隠すと経歴詐称の可能性があります。
「この病気を伝えると不採用では?」と不安があったとしても、似た健康状態で働いている人がいるかもしれません。面接官へ誠意を示すためにも、正直に話しましょう。
全て詳しく話す必要はない
面接では、花粉症や風邪などまで詳しく話す必要はありません。たとえ症状があったとしても業務に支障がなく、特別な配慮も不要なものは、企業側も知る必要がないからです。
今は回復して問題なく働けるとアピールするために、既往歴を伝える方法もあります。
【状態別】健康状態の伝え方例文
「健康状態をどのように伝えると問題がないか?」と、悩む人のために、状態別の伝え方を紹介します。気になっている症状や状態に合った例文を活用して、正直に伝えましょう。
何も問題がない
問題がない場合は、「良好です。特に問題はありません。」と伝えましょう。過去にケガや病気をしたものの、回復して問題なく働ける場合も同様です。
「病気で入院しておりましたが、回復しましたので問題なく働けます。」など、休職期間がある場合の説明にもなります。
通院・服薬はあるが業務に支障がない
定期的に通院したり継続して薬を飲んだりしていても、就業時間外で通院でき業務に支障がなければ、「特に問題ありません。」と答えてかまいません。支障が出るかもしれないと不安があれば、事前に主治医と相談し、仕事に影響の出ない治療の続け方を相談しましょう。
一時的にケガや病気はあるが回復の見込みがある
面接の段階でケガや病気があるものの、ある程度完治の見込みが立っていればその時期を伝えましょう。入社の時期には完治しており、面接時にもケガが目立たない場合は、「良好です。」と言ってもかまいません。
「左手首(ケガや病気の部位)を骨折(症状)しリハビリ中ですが、1か月後には完治の見込みと言われております。入社の頃には問題ありません。」
通院のため、仕事を休むことがある
通院する病院の診療時間が、どうしても就業時間と重なる場合、仕事を休んで通院するケースも出てきます。事前に申し出れば休んで通院できるかを確かめるためにも、面接で話しましょう。
「【ケガや病名】で定期的に通院しております。診療時間の都合でどうしても休日に受診できず、【月に1度などの頻度】遅刻やお休みを頂く場合がございます。」
過去のケガや病気で支障をきたすおそれがある
過去のケガや病気が応募職種に対して支障をきたす心配があるときは、正直に答えます。ケガや病気を隠して採用されたとしても、不安を抱えてしまうので、問題なく働ける内容か確認するためにも伝えましょう。
「過去に【ケガや病名】したため、【作業内容など】を行う業務は難しいと存じます。」
過去にうつなどを発症したことがある
過去にうつ病などが発症したものの回復し、現在は問題なく働ける場合は「特に問題ありません。」と答えてかまいません。必要な治療を続けながらであれば働ける場合、休日を利用して受診するのなら、特に伝える必要はありません。
もし勤務時間中に受診する可能性があれば、「【病名】のため定期的に通院しております。なるべく休日を利用して通院しますが、遅刻や欠勤することがあります。」とあらかじめ伝えましょう。
健康状態を書く場合について
履歴書には健康状態を記入する欄があります。面接官が履歴書の中で重視する部分は経歴など、直接業務にかかわることです。
健康状態は補足事項のため、詳しく記入する必要はありません。履歴書への記入以外の方法もあるので、あわせて紹介します。
履歴書への健康状態の書き方【良好な場合】
ケガや病気がなく、問題なければ「良好」と書きましょう。ケガや病気が完治して働ける状態になった場合であっても、「良好」とのみ記入します。
面接では、完治して働ける状態になったとアピールしてもかまいませんが、履歴書の限られたスペースでは省きます。
履歴書への健康状態の書き方【不安がある場合】
治療中のケガや病気があり、業務に支障をきたす心配があれば、簡潔に書きます。具体的なケガや病名は入れなくてもかまいませんが、症状の度合いや、通院のためにどの程度欠勤や勤務時間の調整が必要かを書きましょう。
「業務に支障はありませんが、持病があり定期的に受診しております。3か月に1度、午前休暇を希望いたします。」
チェックシートへ記入する場合がある
履歴書の健康状態の欄以外に、企業が独自で健康状態チェックシートを用意しているケースがあります。健康状態に問題がないか・過去何年かの間に病気にかかったか・治療や通院など配慮が必要かなどの質問が載っています。
業務へ支障をきたす恐れのあるケガや病気、配慮が必要な状況がある場合のみ記入すればよく、それ以外は書かなくても問題はありません。
健康診断の結果が必要な場合
応募時に健康診断の結果を求められた場合、病院の指定はないか確認した上で受けましょう。病院を自由に選べるケースが多いものの、指定があった場合は受け直すことになるからです。
採用した人材への健康診断の実施は、企業の義務です。そのため、就職・転職活動中に健康診断をうながされた場合、採用の可能性が高いとも言われています。
健康状態の答え方に関する疑問
面接での健康状態の答え方や履歴書への書き方で、気になることを解消してスムーズに答えましょう。迷いがちな内容を2つ紹介します。
小学生の頃の大病は書くべき?
小学生の頃の大けがや大病は、完治しており業務に支障がなければ、書く必要はありません。既往歴を伝える場合も、直近2年程度までです。
その他、花粉症やたまに起きる頭痛、風邪なども書く必要はありません。書くべきか迷ったときは、仕事に影響を及ぼすかを考えましょう。
「良好」以外は不採用?
採用は健康状態だけが判断基準ではなく、それよりも応募先企業が求めるスキルや経験などを優先します。たとえ健康状態で何らかの配慮が必要だとしても、企業が求める要素を持っていれば採用の可能性は高いです。
答え方で迷ったときは担当者と相談しよう
面接では健康状態だけでなく、志望動機や自己PRなどあらゆる質問をされます。面接官の質問の意図を理解して的確に答えるには、事前準備をしましょう。
初めての就職・転職活動で面接対策に悩んだときは、人材派遣会社の担当者へ相談しましょう。これまでに多くのスタッフを派遣してきた実績をもとに、最適な答え方のアドバイスをします。
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まとめ
①面接で健康状態は正直に答えよう
②健康状態を聞く理由は、業務への影響などの確認
③健康状態は正直に答えるが、全て言う必要はない
④【状態別】健康状態の伝え方例文を活用して答えよう
⑤疑問を解消して健康状態を答えよう
⑥答え方で迷ったときは担当者と相談しよう
著者紹介
プロフィール:佐々木 良和 派遣会社コンサルタント。延べ約1,000人の転職のアドバイスを行い、転職に関わってきた。モットーは「転職者の決断に悔いをさせない」。その豊富な経験を基に多くの人が悩む面接時の悩みに答えるコンテンツを発信中。 |